車中泊の朝、トランクを開けて折りたたみ自転車を出す。
この瞬間が、私はたまらなく好きです。
使っているのはDAHON Vybe D7。7〜8年前に4〜5万円くらいで買った、いちばん安い部類の折りたたみ自転車です。
ロードバイクなら1日140km走ります。でもこの子で走るのは1日5〜10km。それでも、旅の楽しさは何倍にもなりました。

「だほぷら」が生き甲斐なんです
やっていることは単純です。
目的地まで車で行って、そこから自転車でぷらぷらする。私はこれを勝手に「だほぷら」と呼んでいます。DAHONでぷらぷらするから、だほぷら。
そして正直に言うと、これが生き甲斐になっています。
車だけだと、駐車場から歩ける範囲しか見られません。ロードバイクを積むと大げさになる。その中間がちょうどいいのです。
余市を、まるごと一周した日
いちばん記憶に残っているのは、北海道・余市です。
車を停めて自転車を出し、余市の街をぐるっと全部回りました。
まず向かったのが「肉や」こと須田畜産さん。赤いテントに「肉や」と大きく書かれた、昔ながらの佇まいの精肉店です。ご夫婦で営まれていて、こういうお店に入るときの、あの少し緊張する感じがまたいい。
買ったのはジンギスカンと牛タン。もちろん、です。
そしてそれを、海辺で焼いて食べました。
車で通り過ぎていたら、たぶんこのお店には入っていません。自転車だから停まれた。自転車だから寄り道した。「ぷら」の効能は、まさにここにあります。
断酒していても、蒸溜所は最高に楽しい
余市といえば、ニッカウヰスキー余市蒸溜所です。
ここも自転車で行きました。そして——正直に書きますが、私は3年以上お酒を飲んでいません。
それでも、あそこは最高の場所でした。
理由は、建物です。
敷地に並ぶ貯蔵庫が、すべて石造りなのです。赤い屋根と、ずっしりした石の壁。スコットランドの蒸溜所を思わせる風景が、余市に広がっています。


しかもこの石、調べてみたら余市特産の軟石でした。
私は札幌軟石が好きで、庭にも敷いているような人間です。同じ「軟石」でも、産地が違えば色も表情も違う。余市の石は少し黄色みがかっていて、札幌のものとはまた別の顔をしていました。

あの重厚な壁を見ているだけで、時間が過ぎていきます。
ちなみに余市蒸溜所の建物は、2022年2月に10棟がまとめて国の重要文化財に指定されています。創業当時の趣きのまま残っていることが評価されたそうです。道理で、見応えがあるわけでした。

飲まなくても、最高に楽しめます。建築として味わえばいい。断酒したから行けなくなる場所なんて、案外ないのだと思います。
(→ 断酒3年で人生が変わった話はこちら/札幌軟石にはまっている話はこちら)
1日5〜10km。それでいい
DAHONで走る距離は、だいたい1日5〜10kmです。
ロードバイクの感覚からすると、あってないような距離です。でも、これでいいのです。
これは遠くへ行くための道具ではありません。目的地に着いてから、その街を味わうための道具です。
商店街をゆっくり流して、路地を覗いて、海が見えたら停まる。歩くには広すぎて、車では通り過ぎてしまう。その隙間がちょうど5〜10kmなのだと思います。
トランクに積めて、思ったより軽い
使い方はシンプルで、折りたたんでトランクに積むだけです。

Vybe D7の重量は12.3kg。数字だけ見ると重そうですが、実際に持ち上げると軽く感じます。トランクへの積み下ろしも苦になりません。

折りたたみは、2〜3分
この記事を書くにあたって、あらためて計ってみました。2〜3分でした。
手順は2段階だけ。ハンドルを畳んで、フレームを折る。それだけです。結構ワンタッチ感があります。
さすがに「一瞬でパタン」とはいきませんが、そもそも1日に何度もやる作業ではありません。朝出すときと、夜しまうときの2回だけ。2〜3分なら、まったく気になりません。
正直な弱点:スピードは出ません
いいところばかり書いても仕方がないので、弱点も。
スピードは出ません。20インチの小径車なので、ロードバイクのようにはまったく進みません。長距離を稼ぐ用途には向いていないです。
でも——街中を走る目的なら、むしろ抜群だと思います。
乗り心地は快適ですし、小回りが利く。信号が多くても苦になりません。用途が合っていれば、これ以上の道具はないというタイプの自転車です。
私がこれを選んだ、もうひとつの理由
実はこの自転車、旅のためだけに買ったわけではありませんでした。
私は椎間板ヘルニアで入院した経験があります。退院してしばらく経ってから自転車を再開したのですが、いきなりロードバイクに戻るのが怖かったのです。
その点、折りたたみ自転車はサドルが低くて足がべったり地面につく。ふらついてもすぐ足を出せる。この安心感は大きかった。
詳しくはこちらに書いています。
→ 椎間板ヘルニアでも自転車に乗れる?悪化しない?|入院した私が再開までに踏んだ段階
DAHON Vybe D7 の基本スペック
| フレーム | アルミ |
| ホイール | 20インチ |
| 変速 | 外装7段 |
| 重量 | 12.3kg |
| 標準装備 | 前後泥除け・センタースタンド |
| 私の購入 | 7〜8年前/4〜5万円程度 |
※スペックと価格は変わることがあります。購入前に最新情報をご確認ください。
まとめ:遠くへ行かない自転車の、ちょうどよさ
7〜8年使ってきて思うのは、この自転車は「足りている」ということです。
速くない。遠くへも行けない。
それでも、車のトランクに積めるおかげで、旅先の街をまるごと味わえるようになりました。余市の肉やさんに寄って、海辺でジンギスカンを焼いて、蒸溜所の石壁を眺める。あの一日は、車だけでは絶対に成立しませんでした。
もし「車中泊や旅先で使う自転車が欲しい」と考えている方がいたら、高いものでなくて大丈夫です。私のこれは、いちばん安い部類のモデルです。
大事なのは値段ではなく、トランクに積めるかどうかでした。
DAHON Vybe D7
私が使っているモデルです。色はいくつかあるので、お好みで。
※在庫状況や価格は変動します。リンク先で最新の情報をご確認ください。
→ 輪行の完全ガイドはこちら
→ 椎間板ヘルニアでも自転車に乗れる?悪化しない?
→ チセヌプリ登山と五色温泉|泊村の無人海岸で車中泊〜ニセコ雲海の絶景



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