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ある日曜の早朝、札幌駅から自転車で丘珠空港まで走りました。目当ては朝ごはんです。
丘珠空港のレストランが朝7時から開いていると知ったのが、きっかけでした。モエレ沼公園をまわって、その足で朝ごはんを食べに向かいました。
カレーは期待どおりでした。ただ、この日いちばん心に残ったのは、帰り道で偶然出会ったもののほうでした。
朝7時から。丘珠キッチンのモーニングで「札幌黄カレー」
目当てのレストランは、空港ビル2階の出発ロビーにある「丘珠キッチン」です。
朝食メニューは7:00〜10:00。空港の中とは思えないくらい、ふつうに朝ごはんが食べられます。

席に着いて、まず驚きました。
窓のすぐ向こうが滑走路です。プロペラ機が停まっていて、その先に朝の空が広がっています。この眺めだけで、来た価値がありました。
丘珠ミニカレー 800円

頼んだのは「丘珠ミニカレー」800円。朝食メニューにある小さめのカレーです。
運ばれてきたカレーの上に、細かい茶色のものがたっぷりかかっています。札幌黄のフライドオニオンでした。ふりかけのように、上から惜しみなく。
ひとくち食べて、玉ねぎの香りが立ちました。
辛くありません。とがったところがなく、ほんのりと優しい味です。スパイスで押してくるカレーではなく、玉ねぎの甘みが土台にあるカレー。他で食べたどのカレーとも違いました。
「幻の玉ねぎ」札幌黄

店内には、こんな札が立っていました。
丘珠産 札幌黄
作り継がれた伝説の希少玉葱
加熱調理すると爆発的に甘くなる!
札幌黄(さっぽろき)は、明治から札幌で作られてきた在来種の玉ねぎです。栽培が難しく、いまはほとんど市場に出回らないため「幻の玉ねぎ」と呼ばれています。
丘珠キッチンでは、カレーメニューすべてに札幌黄を使っているとのことでした。
フライドオニオンは、家でも試せます
あの香りが忘れられなくて、家でも真似できないかと思いました。
ただし、お店で使われていたのは札幌黄のフライドオニオンです。市販のものは品種が違うので、同じ味にはなりません。
それでも、かけるだけで玉ねぎの香りがふわりと立ちます。炒めるところから始めなくていいので、あの朝に近い感覚は、手軽に味わえます。
同じ味にはなりませんが、香りは近づきます
札幌黄そのものを買うなら
「幻の玉ねぎ」と紹介しておいて、どこで買えるか書かないのも不親切なので、調べてみました。
ヴェール農場さんが、札幌黄の乾燥玉ねぎをネットで販売しています。10gパックと50gパックがあるようです。
ただしこれは「乾燥」であって「フライド」ではありません。低温でじっくり乾燥させたもので、お漬物や味噌汁、サラダに使うタイプです。カレーの上のカリッとしたあれとは、別のものになります。
それでも札幌黄そのものを味わえるという点では、こちらのほうが本命かもしれません。
※私はまだ取り寄せていません。ネットで見つけて紹介しているだけなので、味については書けません。個人の農場のショップなので、取り扱いや在庫は時期によって変わります。
「丘珠キッチン」からみえる山々

テーブルに、こんな表が置いてありました。
「丘珠キッチン」からみえる山々。手描きです。
群別岳64km・1376m、暑寒別岳68km・1492m、神居尻山49km・947m、ピンネシリ50km・1100m、隈根尻山48km・971m、美唄山63km・987m、芦別岳75km・1726m、夕張岳71km・1668m——距離と標高、そして読み仮名まで入っています。
そして端の吹き出しに、こう書かれていました。
条件によっては、約120km先の十勝岳が、見えるかも?
これを作った人は、きっと山が好きなのだと思います。
料理を出すために必要な情報ではありません。それでも作って、テーブルに置いている。「見えるかも?」の疑問符に、期待がにじんでいる気がしました。
私も山に登ります(樽前山にも登りました)。だからこの表の前で、しばらく手が止まりました。
※店内の写真は、丘珠キッチンさんに掲載の許可をいただいて掲載しています。
帰り道、軟石の倉庫に3棟出会った
ここからが、この日の本題でした。
朝食を終えて、丘珠から市街地へ戻る道。石を積んだ大きな建物が目に入りました。

札幌軟石です。
私は札幌軟石が好きで、自宅の庭にも敷いています(うちの敷石は、黄金湯の土台だった)。だから走っていても、あの色と質感はすぐ分かります。
でも、この一帯に軟石の倉庫が残っていることは知りませんでした。
しかも、1棟ではありませんでした。
少し走ると、2棟目が現れました。同じ軟石でも、屋根の形も大きさも違います。

そして3棟目は、珈琲店になっていました。東苗穂の「宮田屋」です。ここは以前に一度入ったことがあります。この日は開店前で、外から眺めるだけでした。

短い区間のあいだに、3棟。このことが、あとで効いてきます。
玉ねぎと軟石は、同じ話だった
その宮田屋の建物の前に、札幌市のプレートが立っていました。読んで、思わず声が出ました。

札幌景観資産 第30号 旧沼田家倉庫
建築年:昭和37年(1962年) 構造:石造この一帯は、かつて有数の玉ねぎ産地であり、貯蔵に適した軟石倉庫が数多く建てられた。この建物は、昭和57年まで玉ねぎ倉庫として使用され、個人所有ではこの界隈で最大の希少な軟石倉庫で、地区の産業を伝えるランドマーク的存在である。
「軟石倉庫が数多く建てられた」——さっき3棟続けて見たばかりでした。「数多く」が、数字ではなく実感として入ってきます。
そして、朝食のカレーとつながりました。
この一帯は、玉ねぎの一大産地でした。その玉ねぎを貯蔵するのに軟石が適していたので、ここには軟石の倉庫がいくつも建てられた。この建物は昭和57年まで、実際に玉ねぎを収めていた。
そして、その土地の玉ねぎが札幌黄です。
朝、空港で食べたカレーの上にかかっていたフライドオニオン。その玉ねぎを、昔この石の建物にしまっていた。
カレーを食べに来ただけのつもりが、玉ねぎをたどる一日になっていました。
私はこれまで、軟石を「建物の材料」として見てきました。でもここでは、軟石は玉ねぎのための道具でした。石が先にあったのではなく、玉ねぎがあったから、石が積まれた。
そしてもうひとつ。この建物が、いまの宮田屋です。
昭和57年まで玉ねぎを収めていた石の倉庫で、いまはコーヒーが飲めます。閉まっていて入れませんでしたが、次はここでひと休みしようと決めました。
→ 後日、実際に入ってきました。【札幌軟石】旧沼田家倉庫|玉ねぎを収めた石の倉庫で、珈琲を飲む(宮田屋 東苗穂店)
基本情報
| 店名 | 丘珠キッチン(札幌丘珠空港 2F 出発ロビー) |
| 朝食メニュー | 7:00〜10:00 |
| 食べたもの | 丘珠ミニカレー 800円(札幌黄のフライドオニオンつき) |
| 眺め | 窓の向こうが滑走路。プロペラ機が見えます |
| 軟石倉庫 | 札幌景観資産 第30号「旧沼田家倉庫」(現・宮田屋/東苗穂) |
※営業時間やメニューは変わることがあります。お出かけ前に丘珠空港の公式サイトでご確認ください。
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豊平川で、足を冷やして終わり

この日の最後は、豊平川でした。
靴を脱いで、火照った足を流れにつけます。
冷たさが、染み渡るようでした。
同じ日のライドは、ここで終わりです。




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