「小樽の運河沿いにある石造りの倉庫は、何の石?」「どこを回ればいい?」と気になっている方へ。
結論から言うと、運河のまわりの倉庫の多くは「木骨石造(もっこつせきぞう)」です。木の骨組みの外側に、軟石を積んだ造りです。説明板に「札幌軟石」と書かれていたのは、旧大家倉庫でした。
- 木骨石造とは:木材の骨組みの外側に軟石を積んだ造り(旧北海雑穀の説明板より)
- 札幌軟石の倉庫:旧大家倉庫(明治24年)。説明板に「外壁に札幌軟石を使用」
- 回った順:堺町通り→旧高橋倉庫→旧大家倉庫→GOLD STONE(旧澁澤倉庫)→運河公園→旧日本郵船小樽支店
- 一番のおすすめ:運河公園。トイレも休憩所も、軟石の建物です
- 時間:自転車で、朝8時台から10時前まで
ここからは、自転車で回った順に、説明板に書いてあったことと、写真を載せていきます。
札幌から自転車で、小樽へ

この日は朝6時に札幌駅を出て、ロードバイクで小樽まで走りました。小樽駅に着いたのが8時ごろ。そこから運河のほうへ向かいました。
小樽は、軟石建築の宝庫でした。
→ 札幌から小樽まで自転車で何時間?|国道5号を36km、ロードバイクで1時間54分【体験談】
小樽の倉庫は「木骨石造」

最初に読んだ説明板は、堺町通りの旧北海雑穀(株)です。
この建物は、木材の骨組みの外側に軟石を積んだ木骨石造と呼ばれる構造で、瓦葺の切妻屋根、開口部には鉄扉が納められています。
建築年は明治42(1909)年以前。2階には竿縁天井や床の間があり、彫刻模様付きのカーテンボックスや上げ下げ窓もある、和洋折衷の建物だそうです。説明板には「堺町通りに建つ明治時代の貴重な建物のひとつ」とありました。
この日に読んだ説明板の多くに、「構造:木骨石造」と書かれていました。
堺町通りの、明治の建物

旧第百十三国立銀行小樽支店も木骨石造です。説明板の建築年はシールで読めませんでしたが、小樽市の一覧では明治28(1895)年です。平屋建ての小さな建物ですが、寄棟の瓦屋根に「トンガリ」飾りが付いています。説明板によると、軒下に刻まれた分銅模様のレリーフが、百十三銀行のシンボルだそうです。

旧金子元三郎商店は、明治20(1887)年の建物です。店主の金子元三郎は、明治32(1899)年に初代の小樽区長になった人だと、説明板に書かれていました。両袖にうだつがあり、「小樽の典型的な明治期商店の遺構」とされています。
旧高橋倉庫:大豆を収めた倉庫

旧高橋倉庫は大正12(1923)年、大豆を収める倉庫として建てられました。平成元(1989)年に改修されて、いまはお店として使われています。前は運河、後ろは出抜小路(でぬきこうじ)に接しています。
旧大家倉庫:説明板に「札幌軟石」

この日に写真を撮った説明板の中で、石の種類まで書かれていたのは、旧大家倉庫だけでした。
石川県出身の海産商大家七平によって建てられ、建物の妻壁に「ヤマシチ」の印があります。外壁に札幌軟石を使用し、越屋根と入口部分の二重アーチが特徴です。
建てられたのは明治24(1891)年。小樽市指定歴史的建造物の第1号です。説明板には「運河地区の石造倉庫を代表するもののひとつ」とあり、平成14(2002)年に外壁や屋根瓦が修復されています。

壁に近づくと、石の表面にノミ跡が残っていました。札幌で見る軟石と似ています。同じ感じでした。
→ 札幌軟石とは?|歴史・見られる場所・端材の手に入れ方【石を削る私の入口】
GOLD STONE:魂を揺さぶられた場所

運河の近くで自転車を停めたのは、GOLD STONEの前です。
GOLD STONEはライブハウスです。昨年、ここにライブを観に来たことがあります。魂を揺さぶられた場所で、最高にカッコ良いライブハウスです。ライトアップされた夜の風景も最高でした。

建物は旧澁澤倉庫です。公式サイトによると、明治時代に建てられた木造石造の倉庫で、向かって右側を建てたあとに左側を建て、最後に2棟をつなげたとされています。渋沢栄一ゆかりの建物のひとつだそうです。小樽市の一覧では、建てられたのは明治25(1892)年頃とされています。
入口には「小樽市指定歴史的建造物 第20号」と、2011年の「都市景観賞」の銘板がありました。
向かって左側の倉庫の横に「旧澁澤倉庫」の看板がありましたが、写真は撮り損ねました。渋沢栄一さんの著書を読んで感動した記憶があります。撮ってくればよかったです。

運河公園:トイレまで軟石

北運河の運河公園は、この日いちばん感動した場所です。

トイレまで、軟石で作られていました。こんなカッコ良いトイレは、見たことがありません。



休憩所も、軟石の倉庫を改装したものでした。中には、子ども用の遊具も置いてあります。休憩所の前の説明板には「旧日本石油(株)倉庫」とあり、大正9(1920)年の木骨石造の倉庫だと書かれていました。小樽市の一覧でも、日本石油(株)倉庫の今の使いみちは「運河公園休憩棟」となっています。
小樽運河周辺には、明治から大正期にかけて、木骨石造の倉庫が軒を連ねていました。本倉庫は、その典型的な建物です。
屋根を支える木の組み方は「クイーンポストトラス(対束小屋組)」という洋風の造りだそうです。中に入ると、その木の骨組みを見上げることができます。

噴水もありました。なんと豪華な公園だろうと、感動しました。贅を尽くした、幸せな場所でした。
管理人さんの話
公園では、管理人の80歳代の男性が、笑顔で声をかけてくれました。
あのトイレは「毎日掃除のし甲斐がある」そうです。「女子トイレは入りにくいけどね」とも話していました。
昔は、運河の横全体に、軟石倉庫が鮨詰めに並んでいたそうです。道路の拡張で取り壊された倉庫が、数多くあったと聞きました。
ヨーロッパのように、昔のものを大切にする文化や、遺産を観光にする意識がそのときからあれば、今よりもっと小樽はすばらしい場所になっていたでしょう。そう話されていました。
旧日本郵船株式会社小樽支店

公園の奥には、旧日本郵船株式会社小樽支店があります。重要文化財で、現在は博物館です。
説明板によると、明治39(1906)年に佐立七次郎の設計で建てられました。以前の支店が焼失したため石造りにし、窓や扉には鋼鉄製の防火シャッターを設けるなどの工夫がされたそうです。

昔の景色を思い浮かべながら、もう一度

管理人さんの話を聞いたあと、今よりもっと軟石倉庫が多かった景色を思い浮かべながら、もう一度運河沿いを走りました。
今残っている軟石倉庫は、なんとしても残していきたい。そう感じました。
ルタオや六花亭など、軟石の建物を使ったお店と、名もなき倉庫の話は、こちらに書きました。
→ 【札幌軟石】小樽は数歩歩けば軟石倉庫|ルタオ・六花亭・北菓楼・ロイズも石の建物だった
帰りは、小樽駅からJRで輪行しました。
→ 小樽から札幌へJRで輪行できる?|普通電車で800円、袋に入れて10〜15分【体験談】
まとめ
- 小樽の運河のまわりの倉庫の多くは「木骨石造」。木の骨組みの外側に軟石を積んだ造り
- 説明板に「札幌軟石」と書かれていたのは、旧大家倉庫(明治24年)
- GOLD STONEは、旧澁澤倉庫を使ったライブハウス
- 運河公園は、トイレも休憩所も軟石。休憩所は旧日本石油倉庫
- 昔は運河の横全体に、軟石倉庫が並んでいたそうです
※説明板の内容は、2026年10月11日に撮影した写真から書き起こしています。建築年や指定番号は、小樽市「小樽市指定歴史的建造物一覧」(2026年8月5日更新)も参照しました。




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